2023年7月24日(月)に東近江市のあいとうエコプラザ菜の花館にて「ローカルな総働で孤立した人と地域をつなぐ」事業の成果報告会が行われました。
報告会では、休眠預金活用事業を活用して地域課題の解決にむけて多岐にわたるプロジェクトを進行してきた各団体が、それぞれの成果とその意義について発表を行いました。また、意見交換会を通じて、実行団体同士もつながる機会を作りました。
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開会挨拶と事業報告
開会挨拶は、公益財団法人東近江市三方よし基金の山口美知子から、本日の開催趣旨についての説明と、会場にいる各団体の関係者やこれから活動する実行団体に向けた挨拶がありました。
次に、同基金の西村俊昭から、本事業の概要についての説明がありました。
西村は、「複雑化・複合化した社会課題は、ローカルアクションでしか解決できない」と述べ、地域に根ざした活動の重要性を強調しました。東近江三方よし基金のプログラムオフィサー(PO)として本支援事業で重視している視点は、「手を握る→手を握り続ける→地域につなげる」です。さらに、東近江市、南砺市、雲南市と連携し、休眠預金活用事業を推進してきた経緯についても説明しました。
3実行団体の活動報告
その後、東近江市内の3団体からの事業報告がありました。
一般社団法人TeamNorishiroの野々村光子さんは、「空き家を活用して命を守りつなぐ場づくり」について発表しました。彼女たちは「働く」ことを応援しており、「働く」ことはいろんな人のセーフティーネットになると考え、今回の事業を実施しました。お互いが気にかける人たちが集まる場所ができたことが今回の一つの成果だと話していました。
NPO法人愛のまちエコ倶楽部の園田由未子さんは、「総働で地域につなぐ移住者支援拠点づくり」について発表しました。これまで移住者支援をするなかで、地域と移住者をつなぐゆるやかな場所が必要だと感じ、「だれんち?」という場を作り、移住者と地域とをつなげる活動を展開しました。様々な企画を実施するなかで、圧倒的に地域の人と関わる数や機会が増えたと話します。
一般社団法人湖東まちづくりの板倉元さんは、「みんなで走らす湖東のバス企画」について発表しました。湖東地域における地域交通の問題を解決するため、地元で解決する取り組みを試みました。様々な葛藤や試行錯誤を経て、バスを活用した地域の課題解決に取り組んでいます。
プログラムオフィサーから見た本事業の特徴
西村が再び登壇し、本事業の特徴である「地域総働体制の構築プロセス」について解説しました。今回の3つの事業での伴走支援を通じて、SECIモデルをベースにした「表面化→結合化→拡張化→内在化→共同化」の5つの段階を繰り返すことにより、組織的なつながり(形式知)と個人的なつながり(暗黙知)が強化され、地域の生態系が次第に拡大し、より豊かになると説明しました。
意見交換会
次に、意見交換が行われました。コーディネーターは特定非営利活動法人ナイマゼの田口真太郎さんが務め、パネラーとして野々村さん、園田さん、板倉さん、西村が登壇しました。テーマは「地域総働ってどうしたらできる?」という切実な問いに対し、パネラーからは具体的な取り組みとその結果、そしてこれからの展望について熱い議論が交わされました。
地域総働ってどうしたらできる?
それぞれの団体の活動を振り返りながら、地域総働が地域でどのように実現できるか、意見を交わしました。以下の話が挙がりました。
- ・地域総働は一つの活動をきっかけに膨らんでいくもの。
- ・時が経つにつれて、必要なものや大事なことは変わっていくかもしれない。そのために、今着手すべきことを必要なこととして認めていくことが重要。
- ・事業を通じて生まれるつながりや展開から新たな問題が発見され、それが次の事業につながる。事業には達成感はなく、到達点もないかもしれないが、それがエネルギーになり新たな展開を生む。
- ・地域総働では団体を超えたつながりから新たな事業体制が生まれる。そして、個々の課題や動きを共有し、つながることがパワーになる。
西村は、休眠預金事業のテーマを「地域総働」にしたのは、TeamNorishiroさんがいろいろな人を繋げながら、中心に働き者を置く様子がベースになっていると話した。いろいろな人を人や地域と繋いでいくことが一番の応援になると感じている。
休眠預金活用と他の助成金との違いは?
今回、休眠預金活用事業を活用するなかで感じた他の助成金事業との違いについて各団体に聞いてみました。
- ・一般的な助成金は、予定していた事業が完了すれば完了報告を行うだけで終了となるものもありますが、休眠預金活用では「予定していた事業内容の完了」がゴールではなく、「困っている人を本当に助けられたか」についてとことん考えて取り組むことができる。
- ・常に地域の活動団体を見ているPOの2人に伴走してもらえることが心強い。POは組織運営の課題についても解決しようと目を向けてくれた。
- ・事業がうまくいかないときは新たな手法を模索し、必要であれば事業計画を一緒に変更した。大事なのは、地域の何を解決したいのかの最終目標。そのゴールを達成するために、POは実行団体にいろんな問いを投げる役割を持っている。
以上、地域総働と休眠預金活用という新たな地域活性化へのアプローチについての意見交換が行われました。これからもこのような動きが地域の活性化に寄与することを期待しています。
最後に山口が閉会挨拶を行った。今回の成果報告会がこれからの地域活動の一助となることを期待し、全員の拍手で会は締めくくられました。
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今回の成果報告会は、地域に根ざした取り組みが、地域社会の課題解決や活性化にどのように寄与できるかを示す場となりました。これからも公益財団法人東近江市三方よし基金は東近江市内で地域総働に取り組む団体を応援し、その進展を見守りたいと思います。