木地師の文化が息づく奥永源寺エリアにある東近江市箕川町。
箕川未来協議会は、山の暮らしや文化を体験できるまちとして箕川町を再興し、若者の地方回帰の促進、林業の振興等を通じて未来に継承していく豊かな地域づくりを目指しています。
川に囲まれ素晴らしい景観を有すこの小さな集落で、2023年4月に古民家を改修した一棟貸しのホテルを開業する計画を進めています。
本事業の目標
①聞き書きを使って四季のコンテンツを企画する。
②有料体験ツアーを2つ実施する。
③ホテル開業までのストーリー(コンテンツ、ツアー、活動様子)を動画にまとめて発信する。
本プロジェクトでは、箕川未来協議会が地域の団体や大学と連携してホテル開業までの体制づくりや四季を活用したホテルのメニュー・コンテンツを充実させます。また、開業に至るまでのストーリーを動画にまとめて発信します。
地域の資源を資本とした事業を起こし、過疎高齢化が進行する地域の課題解決・自立化を目指します。
箕川未来協議会は、本プロジェクトを進める意義について、以下のように考えています。
その地域に行く・来る理由として、その地域だからこそのコンテンツがあることは重要になります。
奥永源寺エリアのような歴史のある地域の場合、地域の文化に触れられるというのは、価値があることだと思います。
ホテルのコンテンツ・メニュー開発を考えた時に、「地域文化に触れてもらいたい。」と言う案が挙がりました。
そのきっかけは、2021年4月に地域の長老から子どもたちへ郷土料理を教えるイベントにありました。
地域の文化・伝統が、次世代に伝わっていないということがわかったのです。
料理の素材となる山菜を取り上げてみても、昔あったものが獣害により減少・消滅の危機にあるものが出てきています。
また、獣害だけでなく他所の人が根こそぎ持っていってしまうケースがある等、暮らしや関係性という社会を含めた生態系を考える必要性が見えてきました。
この地域が面している課題は、おそらくこの地域だけのものではありません。
そこに対してアイディアを出してアプローチすること自体が現代的なコンテンツになるのではないかと感じています。
例えば、他所の人と一緒に山菜を取るような主体・機会が出てくれば、資源を根こそぎ取られるような事はなく地域にとっても安心できる良い学びとなるでしょう。
社会の変化の中で、人による自然環境の使い方が変わり、地域の景観は変化しています。
この地域の優れた景観は、人による適度な自然への働きかけがあってこそのものです。
本プロジェクトで、地域の伝統的な食文化・生活文化、歴史について次世代へつなげる機会にします。
こうした機会やコンテンツの充実化を図り、ホテル事業の特色・地域課題の解決策になればと考えています。
最終的には多くの家屋が一棟貸しのホテルとして活用されていくことを望んでいます。
「山を使う、景観を楽しむ、自然を学ぶ」といったコンセプトのある環境事業を小さな集落で実現します。
そして、事業を支える人々が地域に暮らしていく、地域に人々が戻ってくる、こうした未来を期待しています。
箕川町のある奥永源寺エリアは過疎高齢化が進んでいますが、社会インフラは整っています。
国道の整備により高速道路ICから30分程度でアクセスできる立地です。
光回線による良好な通信環境、また浄化槽が備わった家が多い等があります。
こうした整った環境により、山村の生活が体験できる里、また滞在しながら仕事ができる場としての可能性があります。
そして、この一連の活動自体が、課題を有する他の山村集落にとってのモデル事業として発展できたらと思います。
箕川町の資源である「景観」「自然環境」「古民家」「都市からのアクセス面」を十分に活かすことができると考えています。